ADVISOR / Givery Technology

Ikuo Takeuchi

道可道,非常道

長い研究所,大学生活を通じて,さらに未踏での大モットーは「研究・開発は楽しく」.これをそのまま東京大学での最終講義のタイトルにしました.これは,どうせ同じことをやるなら楽しくやろうよ,ということ.楽しくやれば,成功の可能性が上がります.また,成功しても,失敗しても楽しい思い出が残り,それが次のエネルギーになる,という理論(?).そのためには苦労を楽しみと思えるようになる精進が必要です. そのほかに小モットーがいくつかあります.「道可道,非常道」,「自分に必要なものは自分で作ろう」,「集中と弛緩のメリハリ」などなど.最初の怪しい言葉は老子.「道という道(ゐ)うべきは,常(つね)の道にあらず」,意訳すれ ば「絶対の道というものはない,万物は変化する」ということ.これが,どんなプログラミング言語を作っても,それが絶対ということにはならないと転じ,TAO(道)という同じ名前のプログラミング言語を3つも開発してしまいました.

Enerjoy(Energy+Joy+Enjoy)

Giveryという名前がそうであるように,ここでも造語を一つ用意しました.Enerjoy (Energy+Joy+Enjoy).見てお分かりのように,若い人たちのエネルギーと知の楽しみからすごいものを生み出せるようしていきたいな,さらには若い人たちのエネルギーによって人類に喜びがもたらされるようにもしたいな……,と.

自己紹介(経歴)

 1946年富山県高岡市生まれ.1969年東京大学理学部数学科卒業.1971年同大学院理学系研究科数学専攻修士課程修了.同年,日本電信電話公社(現NTT)武蔵野電気通信研究所に入社.主にNTT研究所の基礎研究部門において,コンピュータのプログラミング言語,なかでも人工知能のための記号処理プログラミング言語とシステムを研究・開発してきた.1986年にNTTの子会社NTTインテリジェントテクノロジ社(現NTTアイティ)から市販された人工知能マシンTAO/ELISのソフトの基礎を作る.その後,自然言語の基礎研究グループを統括するとともに,TAO/ELISの後継となる記号処理システムTAO/SILENTを開発し,世界トップレベルの実時間ガーベジコレクションを完成させた. 1997年から電気通信大学電気通信学部情報工学科教授.2005年から東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻教授.2010年東京大学名誉教授.ここではRoboCupサッカーやRoboCup Rescureなどのエージェントシミュレーションの研究を皮切りに,IT防災(IT減災)システムの研究開発に携わった.2011年から約3年間,早稲田大学基幹理工学研究科に所属し,エジプト日本科学技術大学の立ち上げに特任教授として参画した. これらと並行して,2000年に始まったIPAの「未踏IT人材発掘・育成事業」のプロジェクトマネージャとして,日本の若いIT人材の発掘・育成に貢献した.指導・助言した未踏クリエータの数は大学で指導した学生の数をはるかに越えてい る.現在は統括プロジェクトマネージャとして,この事業全般運営に協力している.また,2014年から,未踏事業から巣立ったクリエータの支援と,優れたIT人材によるイノベーション・エコシステムの創出を目指す一般社団法人未踏の代表 理事を務めている. 趣味は数多いが,現在最も時間を使っているのは楽器練習(フルートとチェロ).年を取ってから見つけた合奏仲間との練習を楽しみにしている.もう年なので,「ハッカーの遺言状」というWeb連載を,「サイボウズ式」で行っている. [写真] Goto Aki